経営陣が放置する割安なバリュエーション
京阪神ビルの株価バリュエーションは非常に割安な水準です。一般的に、賃貸等不動産の含み益はバランスシートに反映されません。開示される1株当たり純資産(以下「簿価BPS:Book Value Per Share」といいます。)に含み益を加えた1株当たり純資産(以下「時価BPS」といいます。)を用いて株価を評価します。なお、時価BPSは、簿価BPS+1株当たり税引後含み益(※)で算定され、京阪神ビルの場合の算定結果(※※)は以下のようになります。
(出所:QUICK Astra Manager及び有価証券報告書)
※1株当たり税引後含み益は次の式で算定されます。
1株当たり税引後含み益
={(賃貸等不動産時価-賃貸等不動産簿価)×(1-税率)}÷(発行済株式数-自己株式数)
※※京阪神ビルの含み益調整後の1株当たり純資産は次の算定によります。
1株当たり純資産+1株当たり税引後含み益
=1株当たり純資産1,287円+{(賃貸等不動産時価1,660億円-賃貸等不動産簿価943億円)×(1-税率30%)}
÷(発行済株式数5,218万株-自己株式数20万株)
なお、賃貸等不動産時価1,660億円及び賃貸等不動産簿価943億円は、2020年3月期有価証券報告書の注記に記載されている数値から、2020年4月の遠矢浜倉庫の売却分を控除しています。そのほかは2021年3月期第1四半期決算短信の数値を用いています。
京阪神ビルの直近の開示資料に基づいた時価BPSは、2,253円と算定されます(なお、株主提案の提案の理由に記載されている時価BPS2,235円は2019年3月期の有価証券報告書に基づいて算定しています。)。さらに、弊社は賃貸等不動産時価が保守的に算定されている可能性があると考えます。
含み益がある場合(=簿価BPSよりも時価BPSが大きい場合)、株価を時価BPSで除したPBR(以下「時価PBR」といいます。)は、簿価BPSを用いた簿価PBRよりも小さくなり、京阪神ビルの時価PBRは0.60倍、簿価PBRは1.05倍となります(2020年8月14日現在)。